研究内容

 新規抗てんかん薬の作用機序解析

 てんかんの責任遺伝子及び分子病態に対応した抗てんかん薬(AED)選択には、各AEDの作用機序の理解が必要である。表にイオンチャネル及びチャネル内蔵型受容体に対するAED作用を示す。Na+チャネルの阻害作用を持つ薬剤には、フェニトイン (PHT)やフェノバルビタール (PB)、カルバマゼピン (CBZ)、ラモトリジン (LTG)等がある。また、バルプロ酸 (VPA)やエトスクシミド、ゾニサミドはT-type Ca2+チャネル阻害作用を示す。ガバペンチン (GBP)、レベチラセタム(LEV)はNon-T-type Ca2+チャネル阻害作用を示す。特にGBPは、Non-T-type Ca2+チャネルのα2βサブユニットに結合することにより、前シナプス末端へのCa2+流入を抑制し、グルタメートの遊離を抑制するという他Ca2+チャネル阻害薬とは異なる作用機序を持つ41,42,43)。フェノバルビタールやベンゾジアゼピン (BDZ) 系薬剤、タイアガビン、ビガバトリンは、抑制性神経伝達物質GABA作動型である。LTGは興奮性神経伝達物質であるMonoamine遊離を抑制する。このようにAEDによりその作用機序は異なり、薬剤ターゲットも異なる。責任遺伝子及び分子病態が多様であるため、現在の発作型や症候群分類に基づいたAED処方では、適切なAEDの選択には限界がある。将来的に、遺伝子診断が開始され、個々の患者の責任遺伝子がわかるとそれに則したAEDを投与でき、適切なAEDが処方されていなかったことによる仮性難治てんかんを防ぐことが期待される。


              表1.抗てんかん薬の作用機序 (Kaneko S et al. Expert Rev Clin Phamacol, 2008)

+++:治療濃度内で認められる効果、 ++: 治療濃度を超える投与量で認められる効果、 +: 治療濃度をはるかに超える投与量で認められる効果
*ベンゾジアゼピンにはジアゼパムやクロバザムを含む